2022年8月2日

遠くに住んでいる友達から盆にそっち行くよ、と連絡があった。駐輪場で携帯を見て、ポケットにしまい、自転車にまたがる。住んでるマンションの前を素通りして、20分くらい走りつづけたら、以前何度か訪れたことのある喫茶店にたどり着いた。窓際の席に座り、チキンのトーストサンドとオレンジジュースを頼んで、それからやっと返信した。

夜遅くまでやっていて喫煙可能なその店は、ほかの喫茶店と少し客層が違うように思う。仕事終わりらしいスーツ姿の男性が数名、私よりも年下に見える地元育ちの青年たち、本を読んでいる老人は何時間そこに座っているのか、あるいは何年まえから。人の出入りは絶えないわりに、店内はわりに静かで、15分に一回くらい誰かがそっと席を立って、入り口近くの自販機で煙草を買う。煙草を吸えない私は黙々とサンドイッチを食べる。煙も一緒に吸い込みながら。だんだん背中が暗くなってきて、近くのガソリンスタンドがここぞとばかりに光り始める。

帰りはもう待つばかりだから、行きよりずっとのろのろ走った。細い路地に目線だけで進入した先に細い三日月が引っかかっていて、それすら何かの符牒になる。さっき通り過ぎたばかりの自分の家の前まで辿り着き、車も人もほとんど通らない道で、ゆっくり八の字を描くように漕いだ。

その後二つ三つメッセージをやりとりして、その返事がまだ来ないので、今日はずっとやきもきしていた。