2022年10月4日

先週の金曜日、公園で昼飯を食っている時、思い立って近場のホテルを予約した。1時間半くらい残業して会社を出ると、既に辺りは群青色でひたひた、星の速さで自転車を漕ぎ、帰宅した。

適当に荷物をまとめて再び家を出、バスに乗る。主要駅の方面へ向かうバスも、20時を過ぎると乗客はまばらで、すんなり席を取れた。来週末に行くつもりだったライブのチケットを取り忘れていたことが発覚したばかりで、やや心が挫けていたが、窓の外を眺めているうちに、後悔してもせんなきことだと思い始める。妙に明るい街中のアーケードも、きらきらしていて、眺める分には良いものだ。

ホテルの部屋で荷物を下ろして、近くにあるサウナの梅湯に向かう。自発的に一人で銭湯に行ったのは初めてだったと思う。最近気づいたことだが、私は風呂が好きだけど、たとえば昼から銭湯に行くとか、温泉地で1日に何度も入るとか、全部のお湯に入って確かめるとか、そこまでではないらしい。そもそも長湯があまり得意でないのだ。梅湯でも早々にのぼせて出てきた。ただ、大きい風呂に浸かるのは気分がいいし、脱衣所の何となくだらけたような雰囲気は心地いいし(梅湯の脱衣所でぼんやり天井を見上げると、黄色や水色のきれいなガラスが貼り込まれていて、つい見惚れてしまう)、風呂の後のコーヒー牛乳はおいしい。帰りにスーパーで酒など買い込むつもりだったが、あまりにも満たされてしまって、麦茶とベビーチーズにした。

ホテルではたくさん本を読むつもりが、期間限定無料公開の報が飛び込み、噂の明日カノを読んでいたら日付が変わってしまった。『イリノイ近景遠景』もいくらか読み進める。なぜか二段ベッドの部屋を取ってしまい、交渉相手はもちろんいないのでいそいそと上のベッドに転がり込む。大きな二つの窓からは向かいのビルが建っていて、ずいぶん深い時間までたくさんの部屋に灯りがともっていた。