2022年12月11日

妹と一日出かけていた。途中、泉屋博古館の木島櫻谷展に立ち寄ったが、「暮雲」という屏風絵が素晴らしくて少しふるえた。むくむくと隆起する稜線の、いまにも蠕動しはじめそうな生命力。ちょっと竜の集会のようにも見える。山並みとは異なりあくまで写実的に描かれた松並木の、あらゆる光を吸い込みそうなマットな青色と、暮れる光の透明感とが対照的。「蓬莱瑞色」もよかった、というか全部絵がうますぎる。藤の枝を一筆で一気呵成に描いてみせる大胆さと葉の緻密な写実性、余白の美的感覚も兼ね備えていて、なんでもできるのかこの人は?と思わされる。思わず買った図録も力作で素晴らしい(本文用紙と別の紙に刷られた写生帖の複製が綴じ込まれている!)。行けて良かった。