2022年7月11日

2日間地元に帰省して、いとこの結婚式に参列していた。10歳以上年上のいとこ、ないし新郎は、私が物心ついたころには既に大学に進学し、立派に職を得ていたし、親戚付き合いにまめに参加するタイプでもなかったので、顔を合わせた回数がとても少ない。もし仮面をつけたいとこに「似顔絵描いて〜」と白い紙を渡されたら、私はちょっと悩んだすえに、とりあえず丸メガネをかけさせ、「ご勘弁を…」といいながら提出するだろう。立場が逆でも似たようなものだろうと思う。

そういう間柄であるので、誓いのキスだのケーキ入刀だの両親への挨拶だの、見ちゃいけないものを見ているような気持ちだった。場違いさを紛らわすべく、景気よく拍手をして景気よく杯を空にしていたら、大きなテーブルの向こうから母が大袈裟に眉をひそめて合図してきたので可笑しかった。チャペルはこぢんまりと美しく、料理はすばらしく美味しく、参列者は笑って泣いて忙しく、全てが行き届いていた。ちょっと出来すぎなくらい。

よき日の端っこを陣取って粛々と酒を飲む。結婚式及び披露宴に参加したのは今度で2回目で、1回目は色々あって何もわからないまま巻き込まれたけど、今度は比較的心に余裕があった。プログラムが進んでいくにつれ、私にはできないなーと確信が深まっていった。それは決して悲観的なものではなく、現時点における私のいくつかの事実が、簡明になっていくプロセスだった。彼らにはできて、私にはできないこと。彼らがもっていて、私がもっていないもの。

帰りは叔父の車で送ってもらった。後部座席には私、妹、祖母が座っていて、あまりベタベタしない祖母が、妹の腕をぐっと握っていたのが心に残った。着く直前でパッと離して、「重くてつかれた」と言ったのが祖母らしく、私も妹も笑った。実の兄妹である叔父と母は週に何度も顔を合わせているはずなのに、終始喋りどおしだった。私の生まれ育った街は、なんとなく光が白く、街並みの色が浅い感じがする。